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ルンド大学との共同研究成果がPNASに掲載

2013/02/16 17:53 に Yukio Ishikawa が投稿   [ 2013/02/16 18:08 に更新しました ]

当研究室では、ルンド大学(スウェーデン王国)フェロモン研究グループならびに研究室OBの田端純氏(独立行政法人農業環境技術研究所生物多様性研究領域)とアワノメイガ類における性フェロモン生合成酵素の進化について共同研究を行ってきましたが、この度、その成果が Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (米国科学アカデミー紀要、PNAS) に掲載されました。http://www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1208706110

研究成果の概要は、東京大学大学院農学生命科学研究科のホームページで紹介されていますが、(http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2013/20130212-1.html)ここにも載せておきます。

蛾類のメスは性フェロモンにより同種のオスを誘引します。この性フェロモンは種ごとにその組成(成分とそのブレンド比)が異なり、別種のオスが間違って誘引されないようになっています。性フェロモンの生産には複数の酵素が関与し、これらが順次作用して種固有の性フェロモンを合成しています。この生合成酵素の一つに、フェロモンの原料である長鎖脂肪酸誘導体をアルコールに変化させる還元酵素があります。この還元酵素は性フェロモンの組成を最終的に決める重要な酵素であると考えられていましたが、この酵素のどの部位の変化がフェロモンの組成に影響するのかはわかっていませんでした。

我々は、農業上重要な害虫を含むアワノメイガ類8種からこの還元酵素の遺伝子をクローニングし、この酵素を酵母発現系で作りだしてその機能を解析した結果、アミノ酸配列のわずかな違いが還元酵素の特性に影響していることが推測されました。そこで、酵素活性に直接関わると予想される部位を絞り込み、特定のアミノ酸残基を人為的に変化させた酵素を作製して機能を解析した結果、453番目のアミノ酸残基がC(システイン)であるかF(フェニルアラニン)であるかで異なる酵素活性を示すことがわかりました。この結果は、蛾類の種分化に重要な影響を及ぼしたと考えられる性フェロモン組成の変異の原動力の一つが、還元酵素のアミノ酸レベルでの変異であったことを示しています。


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