逢いたくない「アレ」
Midori Fukaya: May 7, 2015
春を満喫しないまま、急に暑くなりました。遭遇したく無い「アレ」もいっそう活発になります。虫好きが多い昆虫研究者の中でも、アレ、つまりG…が大好き、という方にはお目にかかったことが無いです。でも世界で約4000種もいる「ゴキブリ」のうち、99%の種は山野で平和に暮らしていて、人間生活への闖入者は少数派なのです。
細く長い触角、テラテラ光る平たい体、何よりあの動きが嫌ですね。病原微生物を伝播したり、アレルギーの原因になったりする事も有りえますが、そういう理屈では無く無条件に嫌な感じです。この嫌悪感は生得的なもの(本能)なのか、そうでなければどこから来るのか、謎です。
そんなGたちですが、生理学、生化学などでよい研究材料となり、ホルモン、神経系、フェロモンなど、様々な角度での研究がされてきました。さらにGたちは結構「あたま」が良いからか?条件付け、学習など認知心理学的実験の材料にも使われます。
温暖化などの影響か、かつて九州以南にしかいなかったワモンGが北上し分布を広げています。そのワモンは、かつて応昆研でも巨大なバケツ内で飼育され、たまに実習に使われたりしました。でも今はいません。生命力が強そうなGたちも、成虫になるまでが長いからか、いざ飼育するとなかなか増えません、ワモンGはとくに寒いのが苦手、低温では羽化に失敗したりします。研究に使う人がいなければ、キープしておく気力も失せます。
というわけで、ここ、応用昆虫研では「G」を使うことはないので、入室希望者はご安心を!(是非に、というなら止めませんが。)
しかし。ワモンGをまじめに飼った経験では、これが「可愛くみえなくも無い」瞬間もあるような。それに害虫ではないマダガスカルゴキブリなんかは、いやな匂いも無いし、鳴くし、本当にかわいいですよ、ええ。
あれ…、すでに取り付かれているのかも…